サロン活動こそ地域福祉の原点
ふれあいいきいきサロン・宮古島市社協平良支所(宮古島市平良)

  那覇から飛行機で約45分に位置する宮古島市は、平成17年10月に1市3町1村が合併し誕生した市である。中心となる宮古島北東部に位置する平良地区(旧平良市)では、ふれあいいきいきサロンの活動が活発で、住民が主体となった個性あふれるサロン活動が各地で展開されている。
 ここでは、サロン活動と社会福祉協議会のかかわりを通じて、住民主体の福祉活動への支援の一例を紹介する。



玄関先に掲げるサロン旗 ご近所に寄り合って過ごすひと時

▲地域住民の自宅を開放して行われるサロンには元気な高齢者の笑顔であふれている。
▲地域住民の自宅を開放して行われるサロンには元気な高齢者の笑顔であふれている。
 宮古島市社協平良支所では、地域における「ふれあいいきいきサロン」(以下、サロン)の普及を進めている。これは、高齢者の健康維持と社会参加の促進、孤独感の解消としての居場所づくりを目的に行われているもので、平成18年12月現在、22ヶ所が実施されている。
 平良地区のサロン活動で特徴的なのは、公民館や集会場などの公共施設だけでなく、地域住民の自宅などを活動場所としている点である。そのため、新規にサロンを立ち上げる際の場所の確保がしやすく、サロンを実施する地域が各地に広がった。また、民家で行うので参加者は顔なじみのメンバーと落ち着いた雰囲気の中でリラックスしてサロンを楽しむことができる。
 サロンの一日は次のとおり。定例のサロン開設日になると、玄関先には「サロン旗」と呼ばれる50センチ四方の掛け旗が掲げられ、地域住民を出迎える。開始時間前にはそれぞれ地域の高齢者が訪れ、居間に集まってお茶を飲みながら世間話に花を咲かせる。また、社協から派遣される看護師が血圧測定・健康チェックを行ったり、テープに合わせて民謡や童謡等を歌ったり、踊ったりして憩いのひと時を過ごす。1回あたりの活動時間は2時間程度。こうした活動を月2回のペースで実施している。
 最近では、民生委員や老人クラブもサロンの立ち上げや運営に協力するようになり、地域全体・住民主体の活動へと発展しつつある。


各地に広がるサロン活動 住民主体で社協は裏方に

 宮古島市社協平良支所では、旧平良市社協時代の平成12年度~16年度にかけて「ふれあいのまちづくり事業」という国・県・市による補助事業の指定を受けて積極的に地域福祉活動の推進に取り組んだ。この事業の一環としてサロンの普及を行い、指定の5年間で18ヶ所のサロンが立ち上がった。その中には、既存のサロンに参加して「自分の近所でもサロンをやってみたい」との声が上がり、他の地域で分立してスタートさせたサロンもある。また、男性の参加者だけで構成されるサロンもあり、各地域のサロンが独自の活動を展開している。
 こうした活動に対し、社協では補助事業が終了した現在でも、地域福祉コーディネーター(以下、コーディネーター)を1名配置して、地区内22ヶ所のサロン活動のサポートにあたる一方、年間2万4千円の助成金を支出し、活動を支援している。
 支援を行っていく上で、コーディネーターの島尻郁子さんは、「社協ではサロンと地域をつなぐことを心がけています。」と話す。22ヶ所全てのサロンにかかりきりになるのではなく、住民の主体性を育て、地域の中に協力者を増やしていくことに力を入れているとのこと。その結果、多様かつ独自性のあるサロン活動が多く誕生し、いずれもが活動を長続きさせている。


ここでは誰もがボランティア

 宮古島平良字東にある「なかよしサロン」を訪れた。なかよしサロンでは、メンバーの仲宗根文子さんの自宅で毎月第1・3火曜日にサロンを実施している。参加するのは近所に住む70代~90代の高齢者の方々で、天ぷらをお茶請けによもやま話をしてくつろいでいた。
 参加者の一人下地シゲさん(83歳)は「サロンのおかげで皆さん元気ですよ」と笑う。
 コーディネーターの島尻さんは、「自宅を提供している仲宗根さんだけでなく、ここでは誰もがボランティアです。」と語る。お年寄り同士がお互い顔を合わせる機会を持つことで、まず体を動かして集まり、自然と会話も生まれ、それが介護予防・認知症予防につながっている。また、「世代間交流」と称して地域の小学生たちとふれあうことも、子どもたちに優しい気持ち、いたわりの気持ちを教えている。総じて、サロンに参加する誰もが「ボランティア」として支え合っているのである。


サロン活動が生み出すさまざまな副次的効果
 
 宮古島市社協平良支所では、サロン活動を1つの事業としてだけではなく、他の社協事業と連動させながら、地域福祉全体の底上げを狙っている。各サロンでは地域のキーパーソンを中心とした自主運営を呼びかける一方で、社協は地域間のネットワークづくりを担い、住民が参加しやすい仕組みを整えている。例えば、サロン利用者が学校の児童生徒との交流を図ることで、福祉教育に結びつけたり、老人クラブや民生委員と連携して、見守りネットワークを進めていくなどがそれにあたる。
 このように、サロンが単なる「お年寄りの憩いの場」としてだけでなく、「住民参加を実現する場」として、「社協への理解を深める場」として、「福祉の心を伝える場」としてなど、多様な役割・効果を生み出している。


ふれあいいきいきサロンは地域福祉の原点

 宮古島市社協の松川英世事務局長は、これからのサロン活動について「平良地区全54字での実施を実現したい」と語る。そして、住民へ福祉に対する理解と関心を持ってもらうために、社協では地域福祉懇談会を開催している。懇談会では住民とワークショップを行って地域にある福祉課題を共有し、サロンの立ち上げや今後の社協活動につなげていく考えだ。もちろん、地域住民にも実際に活動に参加してもらい、主体性を持った地域活動を目指している。
 また、合併前の旧市町村ごとに行われていた「生きがい対応型ミニデイサービス」についても、いずれはサロン活動と一つになって進めていきたい考えだ。
 宮古島市における地域福祉の推進について松川事務局長は、「昔はご近所同士で支えあって暮らしていた。これぞまさしく地域福祉の姿。サロン活動は地域福祉の原点です。社協の第一の使命である地域福祉を進めるために、今後もさらなる広がりを目指していきたい。」と力強くコメントした。  



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