地域の安全は自分たちで守りたい
いしゃなぎら邑むつ会・夜間防犯パトロール(石垣市石垣)

  八重山群島の中核をなす石垣市は人口約4万6千人の1島1市の島である。観光産業が盛んで、近年では本土からの移住者も増え、昭和50年から比較すると世帯数は2倍に増加している。その大半は島南部にある「4か字」と呼ばれる石垣、新川、登野城、大川の地区の住民である。


活動日は週3回 回転灯を取り付けた車両で地域を巡回
 
▲パトロールの出発時には重点チェックポイントを確認して送り出している。
 石垣島南部に位置する石垣地区は近隣地区と合わせて人口が増加している地域である。この地区の自治組織「石垣字会」には、青年会や婦人会などのほかに、青年会を卒業した年代で構成される「いしゃなぎら邑むつ会」(以下、邑むつ会)というグループがあり、地域を夜間巡回する防犯パトロール活動が行われている。
 活動日は週3回、火・木・土に行われ、活動時間はおおむね9時から10時30分の時間帯となっている。祭りなどがある場合は、深夜0時まで巡回することもある。
 活動に参加しているのは「邑むつ会」のメンバー約20人と現役の青年会メンバー数名で、毎回2~3名体制で巡回にあたっている。
 パトロールには警察の登録を受けた車両を使用し、青色の回転灯と独自のステッカーを取り付け、住民へのPR効果を生んでいる。現在、邑むつ会だけでも3台を登録しているが、これらの車両はいずれもメンバーの自家用車を無償で提供しているものである。
 巡回中に中高校生を見かけた場合は、声をかけ帰宅させたり、不審者などの情報などは必要に応じて警察に通報している。深夜徘徊は青少年の健全育成に悪影響を与えるばかりでなく、事件・事故の被害に巻き込まれる危険性が高くなるということで、これらを未然に防止し、安心して暮らせるまちづくりを目指している。
  

「自分たちの地域は自分たちの地域で守りたい」

 石垣地区はかねてより地域のつながりを大事にする文化が色濃く残っている地域である。豊年祭などの島の伝統行事には住民一丸となって取り組んでおり、「邑むつ会」も地域の伝統文化を次世代に継承すべく、青年会への芸能指導や祭り行事の運営などを行ってきた。
 そんな中、昨今の少年犯罪の増加などを背景として「こうした問題は、本土や本島だけの問題ではない。自分たちの地域の安全は自分たちで守っていかなくては」とメンバー間で話が持ち上がり、平成14年に夜間パトロールの活動がスタートした。


それぞれの立場で 地域で支える防犯対策

 邑むつ会だけでなく、石垣字会では地域ぐるみで防犯対策に取り組んでいる。
 平成17年1月に同地域で通学途中の男子児童が酔った男性に殴られるという事件が発生した。この事件を契機に住民の防犯に対する意識がより一層高まった。
 字会では警察と対策を検討し、老人クラブの協力を得ながら「シルバーモーニングサービス」を導入。これは、地域のお年寄りが登校時間帯に通学路で児童生徒の見守り・声かけを行うもので、平日は毎日実施されている。このほかにも早朝ジョギング愛好者のグループや、愛犬の散歩時に見回りを行う「ワンワンパトロール隊」など、地域ぐるみでの活動へと発展し、「八重山地区安全なまちづくり推進協議会」から初の防犯対策モデル地区の指定を受けた。


パトロール活動の留意点とは

▲ 青色の回転灯を乗せて走る。これは、住民へのPR効果を狙ってのもの。
 夜間パトロールでは、自転車の無灯火や二人乗りに対する注意や、街中でたむろしている中高校生を注意し、帰宅させるといった活動を行っている。邑むつ会の代表を務める玉代勢秀孝さんに、夜間パトロール時における留意点について話をうかがった。
 まず、見回りを行う場所については、警察のパトカーがあまり巡回しないような所もくまなく点検しているとのこと。そして、見回りの出発の前には、よく中学生の「たまり場」になっている場所を伝え、重点的にチェックしているとのこと。
 また、ただ一方的に注意して強制的に解散・帰宅させればよいというのではなく、声かけの後に生徒の返事(声)を聞くというコミュニケーションを大事にしているとのことである。さらに、同じ生徒が夜遊びを繰り返しているような場合には、警察や学校にも連絡し、対策をお願いしているとのこと。
 巡回後には活動日誌をつけることも活動の重要な要素の一つで、日誌にはこの日の何時に、どの場所で、どういったことがあったのかを逐一記録している。これを行うことで重点的に見回りが必要な「チェックポイント」が把握できるほか、情報を共有することで防犯効果のアップにつなげている。
 警察からはパトロール活動のお墨付きとして委嘱状とともに、身分を証明するための「カード」が交付され、活動時にはそのカードを携行している。幸いカード提示を求められるトラブルなどはほとんどないというが、この活動の周知、あるいはボランティアが危険な目に遭うことを防止する効果が期待できる。


近隣地区への波及でさらなる効果が期待

 邑むつ会をはじめ、字石垣の住民活動で特徴的なものが、地域住民がそれぞれの立場で「防犯・安全」という共通の課題に取り組んでいる点である。
 シルバーモーニングサービスに参加する高齢者、夜間パトロールに参加する青年会やそのOB、一般住民など、活動できる時間帯や回数がバラバラでも、「地域のために役立ちたい」という思いで防犯に取り組んでいる。
 邑むつ会の玉代勢代表は「私たちの願いは安全で暮らしやすい地域を次の世代に残していくこと。だから、この活動はまさに住民支え合いなんです。」と話す。そして、最後に「他の地区でも防犯の取り組みが広がっていけば、さらに効果が高まると思う。」と希望を語った。
 ここで紹介した事例は、福祉分野で行われてきた「友愛訪問活動」や「見守り活動」とは一見違った形に見えるかもしれない。しかし、特定の住民だけでなく地域全体が協力し、それぞれの立場で共通課題に取り組んでいる点は、大いに参考になる好例といえよう。



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