「島で暮らし続けたい」を支える
サテライト型デイサービス「いこいの家」(うるま市津堅島)

  平敷屋港からフェリーで30分、勝連半島の南東5kmに位置する津堅島は人口約600名余の島である。
 半農半漁のこの島で、特別養護老人ホーム与勝の里がサテライト型デイサービス「いこいの家」を開設し、島での暮らしを支える活動を展開している。



民家を利用したサテライト型デイサービス

▲ デイサービスの昼食風景。まるで自宅にいるような内装に気分もリラックス。
▲ デイサービスの昼食風景。まるで自宅にいるような内装に気分もリラックス。
うるま市勝連(旧勝連町)にある「特別養護老人ホーム与勝の里」では、同地区の津堅島において、サテライト型デイサービスを実施している。
 サテライト型デイサービスとは、地域にある集会所や民家をサテライト(衛星)局として、そこに、母体事業所の職員が出張してサービスを実施する出前方式のデイサービス事業のことである。
 島の民家を改修したこの事業所は「いこいの家」と名づけられ、月曜日から金曜日までの週5日開所している。
 いこいの家では平成18年6月現在、25名が登録し、毎日約15名が利用している。スタッフは、相談員、看護師、介護員、調理員(3名)の計6名で、そのうち4名は津堅島の住民、2名は本島から午前8時半のフェリーで島に渡ってくる。
 9時から利用者の迎え、健康チェック、入浴、相談、レク、昼食、談話等を行い、午後3時すぎに自宅に送り届ける。
 大規模な福祉施設がなく、一人暮らし高齢者も多い津堅島にあって、この「いこいの家」のサービスは住民に大変喜ばれている。
 また、毎月1回、公民館で島の住民を招いての「交流会」を実施するなど、年間を通して地域住民との交流を図る機会を設けているのも特徴である。このように、「いこいの家」のサテライト型デイサービスは島の高齢者福祉を支える受け皿となっている。
 与勝福祉会では、いこいの家のデイサービス(通所介護)の他にも訪問介護・短期入所・居宅介護支援が併設されており、入居者は介護保険の適用を受けて介護サービスを利用することができる。


介護保険制度施行後もサービス提供を継続

 与勝の里では、平成10年から津堅島公民館でサテライト型デイを勝連町(当時)から委託を受けて実施していた。
 しかし、平成12年の介護保険制度施行によって介護保険事業への転換を余儀なくされ、このサービスの存続が危ぶまれる事態となった。
 「私達はどうなるのか」「どこに行けばいいのか」と島のお年寄りは介護保険に対する不満と大きな不安を訴えてきた。
 新制度への移行により、経営面でも不安は少なくなかったが、「この人たちを見捨てるわけにはいかない。何とかするしかない。」との強い思いから、自主運営による事業継続に踏み切った。
 そして、自己資金で島にある空き家を借用して増改築を行い、県内でも珍しいサテライト型デイサービス「いこいの家」を平成12年4月にオープンした。
 当初は、週1回だけの実施だったが、利用希望者が多く、回数を増やして対応していくうち、平成17年10月より週5日の開所となっている。
 また、「いこいの家」という拠点ができたことで訪問介護や配食サービス(行政委託)といった福祉サービスのメニューを増やすことが可能となった。特に、配食サービスでは、これまで本島で調理した食事を届けていたため、船便の運航や天候などに左右されがちであったが、島で調理することにより、温かくておいしい食事が台風時でも配達ができるようになり、安定的な配達が可能となった。
 介護サービスのメニューを増やす一方で、いこいの家の増改築やスタッフを島内で雇用するなど事業の拡充に取り組み、現在の活動状況に至っている。


事業所に対する理解が深まり、協力の輪が生まれる
 
  離島で事業を実施するにあたり、与勝の里では一貫して「地域に根ざした活動」を心がけてきた。その一例が月1回の地域交流会である。これは、公民館にいこいの家の利用者と地域住民を招いてレクリエーションや食生活についての勉強、健康体操(ヨガ)などを行うもので、定期的に実施している。この他にも「十五夜あしび」と呼ばれる月見会や、幼稚園・小学校との交流会、施設との合同発表会等を企画するなど、積極的な交流の機会を設けている。その結果、事業所に対する理解も深まり、活動に対し、区長をはじめ地域の方々の積極的な協力の輪が誕生した。


離島でのサービスを通して学ぶことも多い

▲ 地域に密着した活動も大切にしている。地域住民との交流会はいつも大盛り上がりで笑いが絶えない。
▲ 地域に密着した活動も大切にしている。地域住民との交流会はいつも大盛り上がりで笑いが絶えない。
 取材に訪れた日、いこいの家の利用者で最高齢の伊覇栄徳さん(98歳)は、「ここではみんなに会える。いつも楽しみにしている。」と話した。
 生活相談員の根川さんは「みんなと一緒だと食欲もわきます。また、閉じこもり防止につながり、島のお年寄りが元気になっていきます。」と利用者の様子について語った。
 与勝の里の長浜施設長は「小さな島から大きな施設が見える。小さいからこそできることがある。」という。例えば、本島の施設では持ち運びやすい折りたたみ椅子を使用していたが、島の民家に合う椅子を探したところ、折りたたみ椅子の座り心地の悪さに気がつき、本当の施設の椅子を買い換えたことも。また、設備面だけでなく、職員の接遇面などでも本島の施設での福祉サービスの改善に役立っていると話す。
 現在、1日あたり15名程度の利用者を受入れているが、島民の高齢化や要介護度の重度化よって今後ますます福祉ニーズが高まっていくものと考えられる。
 与勝の里ではこうした課題に対応すべく、いこいの家の増改築や、新たな拠点の整備も視野に入れ準備を進めている。


「島で暮らし続けたい」に応える施設整備を

 現在、津堅島には入所できる施設がないため、介護度が重度化し在宅での生活が困難になると本島の老人ホームや老人保健施設に入所せざるを得ない。しかし、地域で暮らし続けたいと願う島民が多く、グループホームや小規模入所施設などの利用ニーズは高いものと思われる。うるま市では平成19年度にむけて、小規模多機能型で、入所機能を兼ね備えた福祉施設をオープンする予定で準備を進めている。
 「年をとってもずっと生まれ島で暮らし続けたい」という島民の願いに応えるべく、与勝の里では住民や行政と連携しながら活動していく予定である。


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