地域とともに歩む福祉作業所
地域活動支援センター まぁーじ(那覇市真地)

 那覇市真和志地区は市東部に位置し隣接する首里地区とともに歴史ある地域である。世界遺産にも登録された「識名園」のほど近くにある、「地域活動支援センター まぁーじ」では、事業全般を通して地域や地域住民との連携を図りながら、障害者の支援活動を行っている。
 

地域と支えあいながらさまざまな事業を実施

▲パン販売の様子。地域の方々との交流も。
▲パンの委託販売の様子。地域住民との交流の場となっている。
 NPO法人オリーブの木(瑞慶覧長正理事長)では、那覇市真地地区で「地域活動支援センターまぁーじ」(多和田紀子所長)を運営している。
 地域活動支援センターとは、障害者自立支援法に定められる「地域活動支援事業」の目玉となるもので、障害のある方が地域で生活していくための相談・助言を行ったり、就労活動などの支援を行うところである。
 「まぁーじ」では、自立生活に向けた就労支援の一環として、農作物やパンの販売、ビンの選別作業、古紙やアルミ缶などのリサイクル事業、食器用洗剤の販売、公園清掃などを行っている。前身となる「まぁーじ作業所」の立ち上げから現在に至るまで、地域と支えあいながらの運営を続けている。


地域の理解と協力で作業所を立ち上げ

 まぁーじ作業所が開設されたのは平成15年4月のこと。その約1年前に精神障害者のグループホームの世話人をしていた多和田紀子さん(現・まぁーじ所長)が、「入所している方はグループホームと病院の往復だけの生活になりがち。ハリをある生活が遅れるよう、一緒に何かできないか。」と考え、入所者数名と畑作りを始めたのがきっかけである。畑といっても、草木が生い茂る傾斜のある土地があるだけで、その草木を伐採し、土を耕すところからのスタートであった。開拓した畑での野菜づくりを行っていく中で、「働いた分の手当が支給できるように、作業所を立ち上げよう」という話となり、多和田さんの他に真地自治会の自治会長、婦人部長などが役員となって、精神障害者小規模作業所「まぁーじ」が開設された。小規模作業所の多くは当事者や家族会などが中心となって発足する場合が多いが、まぁーじの場合は地域が中心となって立ち上げるという珍しいケースであった。


活動・運営をささえる地域の協力
 
▲農園で取れた有機栽培の農作物。
▲農園で取れた有機栽培の農作物。

 障害を持つ方への福祉就労の受け皿として大きな役割を果たす小規模作業所であるが、一般の福祉施設と違い、行政(市)からの補助金は小額で使途も限られている。よって、利用者(作業所で働く障害者)への手当や工賃を捻出するには作業所はさまざまな事業を行っていかなくてはならない。まぁーじでも先述したさまざまな事業を実施している。
 活動の中で特色として挙げられるのは有機栽培で取れる農作物の販売である。945坪ほどの菜園でトマトやほうれん草、にんじん、チマサンチュなどの季節の野菜を栽培・収穫し、地域で販売している。まぁーじの菜園の隣には地元農家の畑があり、その農家から野菜づくりのアドバイスをもらったり、水撒きのための灌がい設備の便宜を図ってもらったりしている。農薬を使わない野菜栽培のため、除草や手入れをこまめに行う必要があり、限られたスタッフや利用者の人数ではあるが、一丸となって農作業に取り組んでいる。こうして取れた野菜は、まぁーじが実施しているパンの受託販売の訪問先などで地域の人に購入してもらっている。
 農作物の販売のほかにも、まぁーじの活動はあらゆる場面で地域との連携が見られる。古紙やアルミ缶などを回収する「リサイクル事業」では、地域へ協力を呼びかけるチラシを作成し、各戸のポストへ投函した。その甲斐あって、資源ごみの回収を依頼する地域住民や直接持ち込んでくれる個人も増えつつある。
 また、那覇市から受託している「公園清掃」の活動時には公園周辺の道路の草刈りをあわせて実施し、地域の環境美化に貢献しており、こうした取り組みが住民の方から喜ばれている。
 このほかにも、まぁーじに隣接するグループホームの世話人からの紹介で、地域の農家が栽培する「うりずん豆(四角豆)」の収穫作業の手伝いも行った。うりずん豆とは栄養価の高いマメ科の野菜であるが、一般にあまり知られていないため、市場に出回ることが少ない。収穫・販売を通して、地域住民へうりずん豆を販売することにより、栽培農家と消費者の双方から喜ばれている。


地域から信頼されるセンターを目指して

▲まぁーじでは、資源ごみの回収・リサイクルも行っている。
▲まぁーじでは、資源ごみの回収・リサイクルも行っている。
 最近では、同じ真和志地区にある繁多川公民館の屋上で菜園づくりを行っている。屋上の緑化を進めたい公民館側からの紹介で、まぁーじがこれまで培ってきた野菜作りのノウハウを活かし、屋上菜園をオープンさせた。「カレー畑」と名付けられた畑にはニンジン、ジャガイモ、タマネギを栽培している。収穫後には地域住民を招いてのカレーパーティーを企画しているといい、公民館での地域交流活動に一役買っている。公民館側もまぁーじをサークル活動を行う一団体として受け入れ、さまざまな便宜提供を行っている。

 さらに、まぁーじでは、近くにある世界遺産「識名園」の売店へのテナント出店を計画している。出店が実現すれば、利用者の就労機会が広がることはもちろん、まぁーじならではの商品販売を企画するなど他事業との相乗効果も期待できる。
 このように、まぁーじでは地域との連携や交流を通してバラエティ豊かな活動を行っている。まぁーじ所長の多和田さんは「昨年から『地域活動支援センター』の指定を受けたので、いろんな相談への対応などもっともっと地域から信頼されるようにしていきたい。」と話す。まぁーじのスタッフ・利用者にできることであれば、地域の要請に積極的に協力していく考えだ。
 
 今回の取材を通して感じたことは、障害者の就労機会の提供を行う小規模作業所のアイデア・工夫と地域密着性の2点である。予算も人数も限られた中で、利用者やスタッフの人件費を確保していかなくてはならない小規模作業所の運営においてはさまざまな工夫が必要となってくる。まぁーじでは、行政からの受託事業のみに頼るのではなく、地域と共存を図りながら自分たちの仕事を作り出している。
 こうした取り組みを他地域でも大いに参考とし、県内に多数存在する小規模作業所と地域が良好な関係を築きながら、支えあいの輪が広がっていくことが期待される。


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