福祉施設を拠点とした地域ネットワークを展開
ふれあい給食サービス・(特養)大名(那覇市首里地区)

 那覇市首里地区は、市の東部に位置し、歴史文化の情緒を色濃く残す一方、住宅地が各所に点在する人口の多い地区でもある。
 その首里大名町にある「特別養護老人ホーム大名」(神谷幸枝所長)では、那覇市社協が実施する一人暮らし高齢者等を対象とした給食サービスを積極的に支援し、地域の福祉拠点としての活動を展開している。


施設で調理 住民がリレーで食事を届ける

▲施設から預かったお弁当ケースは、ボランティアの手によって届けられる。
▲施設から預かったお弁当ケースは、ボランティアの手によって届けられる。
 那覇市社協が実施する「ふれあい給食サービス事業」は、市内に住む一人暮らし高齢者等を対象に友愛訪問を兼ねながら食事を届けるサービスで、地域の福祉施設やボランティアの協力を得ながら行われている。首里地区ではこのサービスは毎週木曜日に実施され、現在43名が利用している。
 一連のサービスのうち、「特別養護老人ホーム大名」では自施設の厨房を使って食事の調理と盛り付けを行っている。 
 食材費については市社協が負担するものの、調理員の人件費や調理にかかる光熱水費等については全て施設が自前で負担している。
 大名の厨房で作られた食事は保温容器に入れられ、まず、地域の民生委員らが参加するボランティアの手によって首里地域に14ある各拠点に届けられる。この拠点は地域の商店やクリーニング店、個人宅などが担っている。次に、各拠点から近隣の住民ボランティアが利用者宅を訪問し、温かい食事を届ける仕組みとなっている。
 こうした2段階の配送システムを敷くことで、たくさんの食事を効率よく配ることと、利用者に直接会って安否確認等の見守りを行うことを両立させている。
 一方で、市社協は事業の実施主体として、給食サービスが円滑に行われるように、食事提供の需給調整や配送ボランティアの割当の調整などを行っている。
 このように、同事業は市社協や福祉施設、地域住民が協働して行う、福祉ネットワークによって支えられている。


温かくて栄養バランスの取れた食事を

▲単にお弁当を届けるのではなく、あいさつや会話を通して、地域住民同士の絆が生まれていく。
▲単にお弁当を届けるのではなく、あいさつや会話を通して、地域住民同士の絆が生まれていく。
 那覇市社協が友愛訪問活動の一環として給食サービスを開始したのが昭和56年のこと。当時は訪問の際に、レストランなどで作った弁当やヤクルトを週1回届けるなどしていた。やがて、温かくて栄養バランスの取れた食事を提供したいとの想いから、昭和61年に「ふれあい給食サービス事業」がスタート。保温容器に盛り付けた食事をボランティアらの手によって利用者宅へ直接届ける現在のスタイルとなった。開始当初は、地元のタクシー乗務員らで構成されるボランティアグループが配送を行っていたが、やがて、民生委員や住民の手で行われるようになった。このように数多くのボランティアの手に支えられながら現在まで20年間継続されている。


   
 地域に根ざした施設経営 多くのボランティアを受け入れる
  
 この事業の大きな特徴の一つは地域住民が参加する配送システムにある。特別養護老人ホームが所有する調理設備およびスタッフの力、配送に当たるボランティアの力、それを仲介して効率性を高める社協や各拠点の協力、これらが連携して初めて成り立つサービスである。
 また、日ごろから地域活動を行っている民生委員も大きな役割を果たしている。地域の中で給食サービスの提供が必要な世帯を市社協へ連絡したり、給食サービスに協力してくれるボランティアの確保などにも積極的に協力している。
 
さらに、特別養護老人ホーム大名では給食サービス以外でも年間を通じて延べ5,000人ものボランティアを受け入れ、常に地域あっての施設経営を目指した多彩な活動を行っている。このように住民が参加しやすい土台ができているからこそ、施設も「地域の一員」として活動に参加することができている。


 手から手へ渡される食事と 地域をつなぐ絆

 取材では、給食サービスに同行させていただいた。大名から各拠点への配達を担当する地元首里第2民児協所属の民生委員、堀川さんと旭さんのお二人は、施設から食事の入ったケースを受け取ると、自動車で各地域に繰り出して行く。拠点となる地域ボランティア宅へ到着すると、人数分の食事ケースを「よろしくお願いしますね。」と笑顔であいさつを交わしながら引き渡していた。
 このようにフェイス・トゥ・フェイスで食事が手渡されているのをみると、単に食事の配達だけでなく、地域住民同士の絆と信頼関係をつないでいる様子を垣間見ることができた。
 大名で調理にあたる栄養士の内田さんは、「利用者がどんな様子で食事を召し上がっているのか見てみたい。」と話す。
 今後、調理・配達という役割分担の中にも時には利用者の声を聴く機会を設けるなどの工夫によって、さらに連携を密にすることができるだろう。
 那覇市社協の担当者によると、サービスを受けている利用者からは感謝の声が寄せられているほか、「もっと回数を増やしてほしい」といった要望も寄せられているという。
 

 継続できている秘訣は 住民のチカラ
▲施設内の厨房の様子。ここで温かい弁当が作られている。
▲施設内の厨房の様子。ここで温かい弁当が作られている。
 
  給食(配食)サービスは、全国各地で実施されているが、このように地域にネットワークを構築して住民参加を促進しているケースは珍しい。逆に行政や業者に頼ることなく住民の手によって運営されてきたからこそ20年以上も継続してきたと見ることもできる。
 那覇市社協によると、この給食サービスを市内のほかの地区にも広げているとのこと。首里地域は地域連携がうまくいっているので良い手本となっている。
 最後に、社会福祉施設が拠点となり、地元住民の支え合い活動の支援を通じて、地域の福祉力を高めている今回の事例は、福祉施設の社会貢献の良き一例としても大きな示唆を与えてくれている。




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