人材研修センターだより

離島地域における新卒高校生就職状況

~若年層の労働力向上と離島地域における雇用活性化の糸口を探る~

 近年、本県の失業率は全国平均の約2倍で推移し、中でも若年層の高失業率が顕著となっている。沖縄県企画部統計課の労働力調査によると、平成19年の完全失業率は全年齢を通した平均が7.4%であるのに対し、15~24歳までの若年層の失業率は16.6%と、本県全体の失業率を押し上げる一因となっている。

 一方、こうした状況がありながら、福祉職の人材確保は年々厳しさを増し、平成19年7月には新しい「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」が告示された。
 また、離島地域における福祉施設・事業所を対象に沖縄県福祉人材研修センターが昨年実施した採用状況アンケート調査においても、離島という地理的条件も相まって、福祉職の人材確保が困難になっているとの回答が多数寄せられた。

 これらの状況を踏まえ、本センターでは、若年層の高失業率対策及び離島地域における福祉人材の確保難の改善を目的として、平成19年度より「若年層労働力向上事業」及び「離島地域雇用対策活性化事業」を重点事業として位置付け、様々な取り組みを行っている。
平成20年度以降の取り組みのさらなる充実を図るため、去る3月に宮古地区の高等学校5校を訪問し、就職指導担当の先生方に、高校生の就職についての現状や就職を支援する立場からの要望について尋ねた。
       
就職への高い意識

 就職内定率は沖縄本島に比べ高い水準となっており、内定率100%を達成している高校もある。全体として学生の就職に対する意識が高く、ハローワーク主催の就職ガイダンスへも2年次から積極的に参加している。

少ない「知る機会」

 福祉職に関心のある学生もいるが、具体的な情報(どのような職種・資格があるのか、どうすれば仕事に就けるのか、仕事のやりがいや将来性等)に乏しく、「関心がある」だけで終わってしまうことも多い。様々な講習会やイベントは本島での開催が圧倒的に多く、離島という地理的条件が参加の制約となっている。確かに、インターネット等で情報は得やすくなったが、実際に現場で働く人の生の声を聞いたり、講座を受けたりすることによって、学生の意識がさらに高まることが期待できる。

県外へ出て行く人材

 県内で就職先を見つけることは高校新卒者にとってそう簡単なことではない。そのため、多くの学生が職を求め県外へ出て行く。このような背景には以下のような要因があると考えられる。

 1.スタートの遅い県内求人
高校生対象の求人が解禁となる7月を迎えると、県外求人事業所は優秀な人材確保を目指し積極的に動き始める。その結果、就職希望者のほとんどが12月頃までには内定を得られる状況となっている。一方、県内求人の場合、全体的に募集開始時期が遅いため、県内求人を待つと卒業までに就職先が決まらないというリスクも高くなってしまう。

 2.住居の確保難
 県外就職の大きな利点は、寮やアパート等住まいの提供や住居手当ての支給など、県外出身者への待遇の充実ぶりだといえる。それに対して、離島出身で住居の確保が経済的に困難な場合、沖縄本島で就職を希望したとしても就職を断念せざるを得ない。離島出身の学生も安心して仕事に就けるよう、多くの県内求人施設・事業所が住居の確保について何らかの支援を検討してもらえたら、との要望もあった。


 今回の訪問で得た課題や問題点を十分整理・検討した上で、本センターとして高校生を対象とした福祉のしごとガイダンスの充実や、離島地域における仕事セミナーの開催等も含め、関係機関との連携をとりながら、各課題に対するより効果的な取り組みを図っていきたいと考えている。


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福祉情報おきなわVol.119(2008.5.1)
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