沖縄県ボランティア市民活動支援センターの事業の柱の一つに、災害時のボランティアセンター本部の設置・運営及び被災地ボランティアセンター支援があります。今年度は、その一環として平成21年度災害ボランティアセンター研修として10月23日(金)「災害にも強いまち=住民主体のまちづくり」をテーマに『つくる防災・笑うまち』講演会を、日本NPOセンター事務局次長 坂口和隆氏をお迎えして開催しました。


(トップページ)


(次のページ)



福祉情報おきなわVol.129(2010.1.1)
編集発行 沖縄県社会福祉協議会  沖縄県共同募金会
 沖縄県福祉人材センター  沖縄県民生委員児童委員協議会
〒903-8603 那覇市首里石嶺町4-373-1 TEL098(887)2000 FAX098(887)2024



-ふれあいネットワーク-

〒903−8603 那覇市首里石嶺町4−373−1

社会福祉法人
沖縄県社会福祉協議会

Tel 098(887)2000  Fax 098(887)2024
Copyright(C)沖縄県社会福祉協議会
TOP MENU

住民主体のしくみ作りで更に広がる!

 「津波発生時の避難場所がない」ことを不安に思う伊佐地区住民の声を事業化し災害時避難所生活シミュレーションや避難訓練を実施。避難訓練時には避難ルートの設定に住民自ら関わるなど、徹底した住民主体のもと訓練が進められてきました。また「肉なし、きざみ具、普通食」にして、多様なニーズ・マイノリティへの気づきをもたらすような炊き出しメニューや、住民から訓練中に感じた思いを聞き取り、訓練後に地図に落とし込んで配布するなど、住民への主体性を促すための取り組みが行われました。また、伊佐地区に触発され、大謝名団地でも災害時の訓練が始まりました。

特集

  続いて、阪神淡路大震災時に、生き埋めになった人たちの大半が近所の人たちに助けられたなど具体例を挙げながら、長年地元に住んでいる人と新たに移り住んだ人が一致団結して地域づくりを進める大切さについてお話がありました。また、災害ボランティアセンターマニュアル作成と訓練による備えと同時に、実際の現場では、想定外の事が起こるため@マニュアルだけに頼らないVCを軸にした柔軟なボランティアコーディネート体制の確立A平常時からリアリティをもって災害時のイメージをするB社協、企業、NPO等の各種団体と名簿やマニュアルの上だけではない生きたネットワークの構築を行うことによって、発災時に、想いのある住民とともに被災者(住民)主体の支援を行うことができると強調されていました。

▲講師の坂口和隆氏

●地域を支えるのは、地域にいる『想い』のある人たち

 講話から西東京市VCが主催した地域の危ないところを一緒に歩いて地図に記していく『まち歩きワークショップ』事業から次々と派生して、防災の新たな取り組みが地域に展開された説明があり、その中でも派生した事業の一例として紹介された公民館と自治会共催による「親子避難所体験ワークショップ」については、公民館に宿泊しながら避難体験をするという取り組みに、多くの参加者が興味をもって耳を傾けていました。

『つくる防災・笑うまち』講演会

=那覇市災害救援ボランティア推進会議の取り組み=

 那覇市社協 仲宗根 三奈氏

多様な機関とのネットワークで動く!

 首里鳥堀町の長雨陥没土砂災害時に、社協の災害VCと行政各課との連携が十分できなかったなどの教訓をもとに、災害時における関係機関の連携を図る事を目的にした意見交換会を経て、現在の推進会議が立ち上がりました。現在の参加団体は自治会、行政、赤十字、NPO、商工会など21団体。これまでに各機関との連携を重視しながら国場や銘苅新都心で避難訓練を重ねてきています。  
 今年度は那覇・真和志・首里・小禄の4地区で自治会・老人クラブ向けに災害の研修会が開催され、災害時の普及啓発に着実に取り組み中です。

〜住民主体の防災まちづくり〜市民が市民を支える地域づくりのために

 また、訓練をしてもらうのではなく、「私の訓練」と住民自身が思えるようになるために、社協VCは、自助、共助、公助のバランスを意識しながら、他機関ができることを『ハンドオーバー(引き渡す)』するという立ち位置を踏まえ、多くの市民が参加するプロセスにしっかりと関わることで『地域の人が自ら動く=住民主体』が実現されるとしてお話のまとめがありました。
 沖縄県ボランティア・市民活動支援センターにおいては、今後も各地域の防・減災の取り組みに注目していくとともに、『災害にも強いまちづくり」の支援のために、様々な取り組みを続けていきます。

 多様な市民ニーズに対応しながら住民相互が支え合う『災害にも強いコミュニティづくり』のために、今後どのような展開が求められるのかを、社協のVC(ボランティアセンター)、地域住民、行政、NPOと共に考えました。

=住民参加による防災・減災(宜野湾市伊佐区)の取り組み=

  宜野湾市社協 宮城 美由氏 

 西東京市ボランティアセンター運営委員長や様々なNPOの役員を歴任されてきた講師の坂口氏からは、まず、ボランティアや団体だけではなく一般の人たちが訪れる窓口であるボランティアセンター(以下、VCと省略)が、『市民活動と行政を結ぶ市民の窓口』として十分機能する事で多様な市民ニーズに沿えるとして、そのために、VCは運営委員会による積極的運営や事業評価のフォーマット(簡素)化をしっかり行うこと、地域の課題を表にだすアドボカシー機能の充実が重要であるなど、詳細な説明がありました。

●VCは協働の結節点

●西東京市VCの取り組み〜自主事業から派生事業までの広がり〜

●県内取り組み事例の報告とまとめ

 休憩を挟み、講演会後半には那覇市社協(仲宗根三奈氏)と宜野湾市社協(宮城美由氏)より住民主体をめざした災害訓練や避難所シミュレーションなどに取り組んだ報告があり、県内外の防災取り組みを共有する場となりました。(報告内容の概略については以下の囲みをご参照下さい)講師からは二氏の報告をもとに住民主体の取り組みを進めるためのコミュニティFM活用など細やかなアドバイスがあり、報告者・受講者ともに、熱心にメモをとる姿がみられました。

▲豊見城市社会福祉センター研修室にて行われた講演会

▲実践事例報告の様子

◎本・ガイドの紹介◎ 

 『市民のための体験的・災害対応訓練』

 『社協の防災・減災活動ガイド』

・楽しみながら役立つ訓練や市民講座の実践集となっています。また、企業との連携について考えるヒントも掲載されています。すぐ使える内容満載の小冊子です。(東京ボランティアセンター発行)
 

 ・今回報告発表を行って頂いた宜野湾市伊佐区の取り組みや那覇市推進会議による自治会訓練について掲載されています。また他の取り組みも掲載されており今後地域で訓練を行う際などに参考になるガイドです。