特集 シニア世代からの働きたい!活動したい!
       社会の一員として頑張りたい!を支える取り組み



 長年、日本経済を支えてきた団塊の世代が定年退職を迎える時期にあります。日本人の平均寿命が男性は 79.29歳、女性86.05歳と過去最高を記録する中、退職後の人生は20年余とまだまだ続きます。セカンドステージ、サードステージをどのように送っていくのか、新たな生活設計を立てながら、それぞれが多様な選択肢の中から自らの生き方を考えていかねばなりません。
 本特集では、シニア及びシルバー世代の人々が、ご自身の力(知恵と経験)を活かして「まだまだ働きたい!」「地域の中で活動したい」、という気持ちを支援する取り組みを2つ紹介します。
 

シニア就業支援プログラム事業を活用して求職活動を支援

 去った7月28日(火)、浦添市てだこホールの多目的室において、財団法人シルバー人材センター連合が主催する「第2回就業支援講座」が行われました。本講座は、沖縄労働局委託事業のシニア就業支援プログラム事業の一環として開かれたものです。当日は、シルバー人材センターに登録している方や失業保険を受給中の方、ハローワークなどで仕事を探している方、退職後の生き方を模索している方など45名が本講座に参加し、近年の雇用情勢についての説明や求職活動を行っていく上での心構えについての説明を受けました。




     ▲名嘉山参事による県内労働市場説明に聞き入る受講者





 平成21年5月、本県の完全失業率は8.6%と前年同月より1.0ポイント上昇しており、雇用情勢はますます厳しい状況にありますが、「企業は経験豊富で即戦力となり得るシニアの応募を待っているので、自信を持って就職活動に臨んで」「独りで求職活動を行うよりも、相談員と共に求職活動を行うのもいいのではないか」と参加者に呼びかけていました。  
 参加された宮城さん(西原町在)は、今年4月に35年勤めた運送会社を定年退職し、現在求職活動中とのことです。「長い間、一つの会社で忙しくしながら働いてきた私が、履歴書を書き、就職活動することになるなんて考えてもいなかった。どのように就職活動をするのか分からずにいたが、興味のある会社を訪問して、自分のこれまでの経験を売り込むことが大事と知って、今日は良かった」と話していました。
 また、6年前に25年近く勤めた会社を退職された上里さん(宜野湾市在)は、「事務職として長年やってきたけど、事務の仕事で再就職先を探そうと思っても年齢が高いと全く採用されない。コールセンターやお弁当の仕出し屋のアルバイトをやってみたが、なかなか続けられない。今は、ゆっくり自分に出来ることを探そうと思って、保育補助講習(県シルバー人材センター連合が主催する技能講習の一つ)などを受けてみようと思います。」とのこと。
 シニア就業支援プログラム事業は、55歳以上の離職者(予定者を含む)に対して(1)就業支援講座の開講や(2)企業やボランティア活動等の見学・体験、(3)雇用・就業・ボランティア等のマッチングを柱に高年齢者の雇用・就業機会の確保及び地域社会や企業等における人材の確保を図っています。毎週月曜日・水曜日には個別相談も行っています。


問合せ先(社)沖縄県シルバー人材センター連合(TEL:098-871-0330、http://silvers.sjc.ne.jp/rengo/pub/okirengo/)


沖縄シニアの会  高齢者の自助工房「あかね食堂」を開店


 今年7月に那覇市東町に開店した「あかね食堂」は、沖縄シニアの会(本紙7頁、活動最前線を参照)が高齢者の自助的な活動の場として立ち上げた食堂です。
 会員の中で、あかね食堂での就労を希望する者が1日4時間程度、週3日無理なく続けられる程度働き、働いた分だけの給料をもらうという就労と集い楽しむ活動の場です。
 当初は、会のサロン的な活動の場としての位置づけでスタートし、食堂の売り上げを皆で分けるという考えで運営を模索していました。しかし、準備期間を経て全体で話合った結果、やはり働いた分だけの賃金をそれぞれ得ることが、スタッフにとってのやりがいや励みに繋がるということになり、現在では雇用関係の下での食堂運営です。

  



てびち定食、ゴーヤーチャンプルー定食、ゆし豆腐定食等の沖縄の定番メニューを60代、70代のスタッフが長年の生活経験を活かして、風味豊かで味わい深く、うちな〜の母の味に仕上げています。代表の石橋しさんは、「皆さん、本当にお料理が上手。なぜ、60歳以上の方が雇われないのかが不思議。従業員としてこれほど優秀な人材はいないですよ」と、自ら考え行動し、必要なことはお互いしっかり確認し合って進めていくスタッフの頼もしさを評価されていました。
 スタッフの方に話を伺うと、障害者の作業所でボランティア活動をした経験のある68歳の遠藤さんは、「自分はまだまだ若いし、体が動かなくなるまでは、ボランティアでも何でもやります。毎日、とても楽しいですよ。何年も仕事から離れていると、同じ年代の人たちとの付き合いが減ってくるので、ここにくる事で、出会いがあるのがいいんです。」 
 70代の上原さんは、「働かず家にいるとゴロゴロするしかなくて、疲れないから夜あまり眠れなかった。私たち年代は足腰だけは強いので、体を動かして汗を流せばすっきりとし、今では夜も良く眠れるようになって健康的ですよ」と熱気がこもる厨房の中から笑顔で話してくれました。
 開店から約半月、食堂の紹介や求人募集のコメントをマスコミの記事に掲載したら、大きな反響があるとのことで、本紙の取材中にも2名の方が「私も働けますか」と食堂に足を運んできていました。また、食事に来る客層もスタッフと同じ位かそれ以上の年齢の方が殆どだという状況も興味深いものがあります。ある時、年齢を尋ねられたスタッフの城間さんは、「えー、年齢を聞くの?今、68歳。もうすぐ70歳、いぇーい!ですよ。」と笑って話されていました。「ここでは、年齢も言いやすい。だって、みんな同じ位だから」という言葉に年を重ねることを楽しむ雰囲気があります。





 ▲慣れた手つきで数々の料理が作られていきます




 食事を終えての帰り際、スタッフに「ご馳走様、これからも頑張ってください」と言って帰るお客に対し、「また、いつでも来てください」と返す関係には、商売の枠を超えた同じ世代に対する仲間意識のような、連帯感を含んだ言葉に聞こえます。
 「単にお茶を一緒に飲むだけではなく、共に食堂での労働を通して結びついた分だけ、繋がりが生まれてくる。今は、元気で働いていますが、これもあと数年の間かもしれません。でも、後に続いて働いてくれる後輩たちが私たちに代わって働き、先輩たちが今度はお客としてこの場に集う。ここに来れば、誰かがいて、悩みや困ってくることも相談できる。そういう場としての食堂にしていきたい」と石橋さんはあかね食堂の未来を描かれています。


問合せ先 あかね食堂(TEL 098‐862‐8122)



 7月12日、県内紙の紙面に食堂スタッフの募集記事が掲載されました。この記事だけで、3回に分かれて行われた沖縄シニアの会の説明会には約100名の方々が集まってこられました。あかね食堂が全ての方に合致するものではありませんが、それでも、年齢が足かせになりやすい雇用情勢の中において、高齢であることを、健康状態を躊躇なく話せるという点で自助工房としての食堂の存在意義は大きなものがあると考えます。また、シニア、シルバー世代の多様な生き方を就労という側面から支援するシニア就労支援プログラムを多くの方に活用してもらえるよう情報の周知に協力していきたいと思います。




高齢者へお仕事を紹介します    

 沖縄県高齢者無料職業紹介所    

  概ね60歳以上の方に対し、永年培った知識と経験を生かし、
 希望
と能力に応じた適当な仕事を紹介しています。
  紹介に要する費用等
は、全て無料です。お気軽にご相談ください。

  相談時間

  ●開所日 毎週月曜日〜金曜日

  ●時間 午前8時半〜午後5

  ●休所日 土・日曜日、祝日、振替休日、慰霊の日、年末年始

 問合せ先

  沖縄県高齢者無料職業紹介所(沖縄県社会福祉協議会内)

  電話 0988870148








(トップページ)


(次のページ)



福祉情報おきなわVol.127(2009.9.1)
編集発行 沖縄県社会福祉協議会  沖縄県共同募金会
 沖縄県福祉人材センター  沖縄県民生委員児童委員協議会
〒903-8603 那覇市首里石嶺町4-373-1 TEL098(887)2000 FAX098(887)2024



-ふれあいネットワーク-

〒903−8603 那覇市首里石嶺町4−373−1

社会福祉法人
沖縄県社会福祉協議会

Tel 098(887)2000  Fax 098(887)2024
Copyright(C)沖縄県社会福祉協議会
TOP MENU