特集 「地域の福祉力」の向上を目指して

 去る3月25日の第4回理事会・評議員会で平成20年度沖縄県社協事業計画が審議され、承認されました。本紙ではその中の基本方針と重点事業について紹介します。

基本方針

 急速な少子高齢化や国民の価値観の多様化の中で、我が国の社会福祉は、利用者本位の福祉サービスシステムと利用者保護の実現、地域ケアシステムの確立、住民参加を機軸とする福祉文化の形成など、地域を基盤とした福祉の充実を基本的方向として進めている。
一方、人間関係の希薄化や個人のライフスタイルの多様化等を背景に地域社会の変容が指摘されており、孤独死、家庭内の虐待等に代表される様々な問題が顕在化しているなか、国においては地域福祉の再構築に向けて精力的な検討を進めている。今後、社会福祉協議会(社協)、民生委員・児童委員等の位置づけと役割について大きな見直しが進められるものと考えられる。
このような情勢をふまえ、本会では「第2次沖縄県社会福祉協議会21プラン」に基づいて市町村社協や福祉施設団体、ボランティア・NPO活動等との連携を通じて「地域の福祉力」の向上を図るとともに、判断能力が不十分な人々の権利擁護、低所得世帯等への支援を広げているところであり、平成20年度は、本プランの着実な推進を通して安心・安全・福祉のまちづくりを目指し、以下の事業を重点に取り組むこととする。


1 市町村社協活動等の支援仕組みの整備
 
(1) 地域の福祉ニーズに即して、市町村社協が目指すべき理念と基本方向に沿った地域福祉活動を展開するため、体系的な研修や情報提供によって役員及び事務局職員の意識啓発と資質の向上を進める。
(2) 離島等の小規模社協が地域住民のニーズに応じた福祉活動を展開できるよう、地域の特性に即した支援を強化する。
(3) 沖縄県民生委員児童委員協議会の組織強化を支援していくとともに、市町村社協における民生委員・児童委員活動との連携の強化を図る。


2 県民参加による福祉社会の形成
 
(1) 全市町村社協においてボランティアセンターの設置又は機能充実を促進する。
(2) 福祉施設、ボランティア団体・NPO、企業等のボランティアコーディネーターやリーダーの育成に努める。
(3) 児童・生徒及び大学生等が、ボランティア活動や体験学習を通して、社会を形成する一員としての意識高揚を図るよう支援する。
(4) 県民に対して、地域社会を構成する一員としての支え合いの意識を喚起し、福祉文化の醸成に努める。


3 社会福祉施設・団体への支援
 
(1) 種別協議会活動の活性化による自主運営を促進するとともに、緊密な連携を保ちながら、福祉課題の共有化と課題解決に向けての連絡調整や調査・研究、政策提言活動等を強化する。
(2) 社会福祉法人が自ら組織体質の改革を行い、自律的な経営を確立していくことを支援するため、経営改善支援事業の普及・促進を図る。
(3) 社会福祉振興基金等の効率的な運用を行うとともに、適正で公平な助成による民間福祉団体の活動支援に努める。


4 社会福祉従事者の資質の向上と研修
 
(1) 福祉人材研修センターの受託研修や福祉施設種別協議会の独自研修等について、各組織の機能分担を考慮に入れながら、総合企画委員会において整理された研修体系に沿った研修を進める。
(2) 公募採用への理解を深め、求人開拓を強化するとともに、質の高い福祉人材を確保するため、福祉専門職能団体や養成校等との連携を強化し、有資格者の求職登録を促進する。
(3) 福祉の職場に優秀な人材が定着するよう、職員処遇の向上と福利厚生の充実のため福利厚生センター(ソウェルクラブ)への加入等を促進する。また、福祉職場にふさわしい人事管理制度の推進等、社会福祉事業経営者への支援を強化する。


5 県民への福祉サービス事業の推進
 
(1) 低所得者、障害者及び高齢者の経済的自立と生活意欲の助長促進のため、市町村社協・民児協と連携し、生活福祉資金の貸付から生活支援まで一貫した仕組みの確立を図る。
(2) 県民及び福祉関係者の相談ニーズへの効率的な対応を図るとともに、県内の福祉・保健・医療その他の相談機関とのネットワークを活用した総合相談窓口機能の充実を図る。
(3) 「高齢社会は県民全体で支えるもの」という考え方を広く地域住民に啓発するため、介護知識、介護技術の普及と啓発を図る。
(4) 介護サービス事業所の適切な選択に資するため情報を提供する指定情報公表センター、指定調査機関及び地域密着型サービス外部評価事業の円滑な推進に努める。
(5) 活力ある高齢社会を目指して高齢者の生きがいと健康づくりを推進するため、県民の意識高揚を図るとともに、高齢者の親しみやすいスポーツ・レクリエーションの普及に努める。
(6) 多様化する高齢者の学習ニーズに対応するため、各種講座等の充実を図るとともに、学習情報の提供など学習環境の整備に努める。
(7) 弁護士や社会福祉士等の高齢者虐待対応専門チームを組織し、市町村・地域包括支援センターにおける困難事例への助言及び支援を行う。


6 利用者の立場に立った福祉基盤づくり
 
(1) 判断能力が不十分な人々の地域自立生活支援に向けて地域福祉権利擁護事業の円滑な実施を図るとともに、市町村社協独自の金銭管理サービスの普及に努める。
(2) 福祉サービスに関する苦情解決事業の啓発に努めるとともに、事業者段階で解決できない苦情に対し、運営適正化委員会において迅速かつ適切な対応を図る。
(3) 県民の生活福祉の向上を図るため、調査研究、連絡調整といった固有の機能を活かして、各種福祉施策の充実を目指した提言活動を展開する。


7 情報、企画活動の充実
 
(1) 第2次沖縄県社会福祉協議会21プラン推進評価委員会において、事業目標に照らした達成度や費用対効果に関する評価分析を行い、事業の改善や見直し、スクラップ&ビルド等を進める。
(2) 新たな福祉活動の開発や政策提言に向けてプロジェクトチームを設置し、調査研究等を進める。
(3) 広報誌、ホームページ及び福祉情報ライブラリーの整備充実を図り、県民や福祉関係者に対する情報提供活動を積極的に進める。


8 県社協の経営基盤強化
 
(1) 事業規模に応じた適切な財務管理と財務体質の強化を図り、組織と事業の適正かつ安定的な運営に努める。
(2) 事務局職員全体が県社協の使命を十分に認識するとともに、高度な知識と技術の習得を目指して職場内研修の充実、各種研修参加及び資格取得の支援を図る。
(3) 沖縄県総合福祉センターの指定管理者として、福祉活動の総合的拠点施設としてのセンター機能を十分に活かし、県民の福祉の向上、民間福祉団体活動等の発展に努める。また平成21年度以降も沖縄県総合福祉センターの適切な運営が図れるよう、引き続き指定管理者指定の確保に努める。


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福祉情報おきなわVol.119(2008.5.1)
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